1区でいきなり東海大の佐藤悠基が区間新を独走状態を築いたのに対して、他の優勝候補に挙げられたチームが出遅れる展開となってしまった。
2区も『驚異の追い上げ』を期待された山梨学院大のモグスが、途中までは区間記録を大きく上回るペースだったものの、20キロ過ぎに急激に失速。駒沢、順天堂、亜細亜も『追い上げた』という状態にすることは出来ず、東海大の先行逃げ切り策が当たったように思えた。
3区以降も多少差は詰められるものの、後続の姿を見ることは出来ない状況に変わりはなく、東海大を除いた19チームで順位を争っているようにさえ思われた。
その中で順天堂大が徐々に順位を押し上げてきた。特に4区の佐藤秀和が区間賞の走りをして、5位で5区山登りのスペシャリスト今井正人にたすきを渡した。
この時点で、東海大との差は4分9秒。
いくら何でも逆転は無い。そう思った。
2秒遅れでスタートした日体大の北村に追いつかれ、併走したときにその思いは強くなった。
しかし、山にはいると状況が一変。今井の走りは、他の選手を寄せ付けなかった。まさに別次元。ディープインパクト級の走りだった。
10キロ行かないうちにトップとの差が2分ほどになった。
「これはもしかして追いつくかも」等と母としゃべっている間にも差を詰め続け、東海大に追いついたのは何と16キロ地点。
ずっと一人旅をしていた東海大は、今井の走りに付いていくことは出来なかった。
4分9秒をひっくり返しただけではなく、2位の東海大に1分42秒の差をつけて順天堂大が2年連続の往路優勝。今井は自身が去年作った区間記録を25秒も更新した。
「シンジラレナ〜イ!」
そう叫びたくなるような、ものすごい逆転劇だった。

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